診療室のひとりごと 2

こんにちは!院長の倉田です。

私たちの仕事は、患者様を癒す仕事なのですが、患者様の痛みがとれたりすることで自分自身が癒されることもよくあります。

私がC5デンタルクリニックの院長になる前、父の経営する歯科にいたころのエピソードです。

土曜日の診療後に、受付で事務処理をしていました。

電話が鳴ったので出ると、

「まだ空いてますか?痛くてたまらんのやけど、診てもらえんやろうか?」

「もう診療時間は終わったのですが、お痛みがあるなら診ましょうか?応急処置になりますが、よろしいでしょうか?」

「すぐ行きます。どげんかしてもらえるならそれでよかです。」

特に予定はなかったので、時間外ですが診ることにしてお待ちすることに。

スタッフは帰して1人で診ることにしました。

10分ほどして来られた中年男性は、こわもてで、かなり無口な方でした。

診察台へ案内し、症状を伺ってレントゲンを撮ると、その患者様はとにかく痛くてたまらないという様子で、かなり不機嫌(>_<)

お口の中の腫れ具合やレントゲンを見ると、これは痛いだろうという所見。

応急処置では痛みはおさまらないと判断し、麻酔をして治療をすることなど説明して治療を始めました。

「麻酔が効きにくいかもしれないので、痛みがあったら手をあげて教えてください。」

しばらくして、麻酔が効いたのを確認して削っていくと、間もなく膿があふれてきました。

「わ~これは痛かったでしょう。楽になると思いますよ。」

根の中を掃除して、消毒して膿が出やすくして、その日は治療終了となりました。

会計の時、こわもての顔に少し笑顔が見られました。

後日、根の消毒に来られた時、こわもてではなくなり、優しい笑顔でした。

「実は、私は料理人でして、もともと歯科は苦手で、忙しさを理由にむし歯を放置していたんです。あの日は前夜から痛みで眠れず、仕事中も痛くて、痛み止めも効かなくて、弟子たちを叱りまくっていたら、弟子から大将、お願いだから歯医者行ってくださいと頼まれたんでしぶしぶ来たんです。」

なるほど、痛くて不機嫌だったのか。

「治療終わると、どんどん痛みが楽になってきて、そこで初めて女医さんだと気づきました。いや、あの日は時間外で診てくださったのに、失礼な態度で申し訳ありませんでした。」

「痛みがおさまって良かったです。痛みでイライラしてしまうのは、患者様はよくあるので、歯科医師は慣れてるので、大丈夫ですよ。」

「もうあの時、女医さんだと気づいたあと、先生が輝いて見えてまるで女神さまのようでした。助けて頂いてありがとうございます。」

(*^^)v

女神さまと言われることは少ないですが、こういう言葉は本当に嬉しいです。

その後、料理長されているお店に伺うと、美味しいものをいつもサービスしてくださいました。

私の歯科医師人生の中でも、思い出に残る嬉しいことの一つです。

父の背中を追って歯科医師になり、こういう生きがいに癒されながら歯科医師を続けてきました。

C5デンタルクリニックには、女性の歯科医師が、常勤、非常勤含めて5人います。

院長としては、訪問先とかでみんなそれぞれ女神さまになれるといいなと思っています。

昨夜は皆既月食でした。福岡でもとても綺麗でした。

幻想的なお月様を観ながらふとこの患者様を思い出しました。